基本的な空間解析

 本教材は、「基本的な空間解析」の実習用教材です。GISソフトウェア(QGIS)を用いた、地物の計測、ディゾルブ、クリップなどの空間解析手法について解説しています。

実習用データ

実習をはじめる前に、tokyoshinobazuをダウンロードしてください。

基本量の測定と空間オブジェクトの選択

 GISでは、データの形状や属性情報を用いて、地物の長さや面積を計測することができます。ここでは、東京都23区の行政区域と地理院タイル(空中写真・衛星画像)を用いて、不忍池の周長と面積の計測を行います。QGISでの計測は、手動のものと自動のものがあり、以下では両方の手法を解説します。

 東京都23区の境界データを先に読み込んだ後に、ブラウザパネルのXYZタイルの追加から、地理院タイル(空中写真・衛星画像)を読み込んで下さい。 手動計算

手動で、長さor面積を計測する方法

計測ツールをクリックし、線の長さを測るを選択する。 手動計算

不忍池の周長を測定

池の外周を縁取るように、点を打ち、最初の点と重なったところで右クリックすると周長が計算できる。 手動計算

不忍池の面積を測定

池の外周を縁取るように、点を打ち、最初の点と重なったところで右クリックすると面積が計算できる。 手動計算

フィールド演算から、長さor面積を計算する方法

shinobazuのポリゴンを読み込み、周長と面積を計算する。 自動計算

  1. 属性テーブルを開き、編集モードに切り替える。
  2. フィールド計算機を開く。

新規フィールドを作成し、フィールド演算を行う。 自動計算

  1. 「新しいフィールドを作る」にチェックする。
  2. フィールド名: perimeter
  3. 出力フィールドタイプ: real
  4. 出力フィールド幅: 10 ※任意で変更可
  5. 精度: 5 ※任意で変更可
  6. 関数: ジオメトリから$perimeterをダブルクリックする。※式に$perimeterが表示される。
    • ※今回は周長なので$perimeterを選択する。
    • ※線長を計測する場合には、$lengthを使用する。
  7. OKをクリックする。 ※面積の計測には、同じ手順で、$areaを使用する。

周長(length)と面積(area)のフィールドがつくられる。 自動計算

フィールド計算を用いた計算

フィールド計算機では、様々な関数による計算を行うことができる。以下では、よく利用される関数を紹介したものである。

関数名 処理内容
$length 線長
$area 面積
$geometry ジオメトリ
$x x座標
$y y座標
$id 連番

空間オブジェクトの選択

以下では、空間オブジェクトの選択の例として、台東区を検索する手法について解説しています。

地図から選択する場合、選択ボタンを利用する。レイヤウィンドウで対象レイヤをクリックし、青色になっているのを確認したのち、地物選択をクリックする。地図上で、台東区の場所をクリックすると、色が黄色(選択色)になる。 自動計算

属性テーブルから、選択したエリアの情報を表示することができる。 自動計算

  1. 属性テーブルを開き選択した地物を表示する。
  2. 地図で選択した地物のみ表示される。

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その他の空間データの操作

 GISでは、データの位置、形状、属性を用いて新たにデータを作成することができます。以下では、マージ(複数のデータを1つに結合)、ディゾルブ(属性を用いてデータを融合する)、クリップ(重なっているデータを指定し、特定の範囲を切り取る)について解説します。マージ、ディゾルブ、クリップの詳しい説明は、[地理情報科学教育用スライド(GIScスライド)]の4章を参照してください。

※あらかじめ、新規にフォルダを作成し、台東区と墨田区のシェープファイルを移動して下さい。シェープファイルは複数のデータで一つのファイルであるため、移動の際はすべてを動かすようにして下さい(.shpファイルのみ移動すると、データが表示できない)。

台東区と墨田区のポリゴンをマージ(Merge)する

空間選択から作成した台東区と墨田区のポリゴンデータをQGISで読み込む。ベクタ>データマネージメントツール>複数のシェープファイルを一つに結合するからマージする。 マージ

  1. ポリゴンを選択する。
  2. ブラウズから入力ディレクトリを選択する。
  3. ブラウズから出力するシェープファイルの保存する場所と名前を入力する。
  4. OKをクリックする。

台東区と墨田区がマージされ、一つのポリゴンになった。 マージ

マージしたポリゴンをデイゾルブ(Dissolve)する

ベクタ>空間演算ツール>融合からディゾルブを行う(町丁目界のないポリゴンの作成)。 デイゾルブ

  1. 入力レイヤを選択する。
  2. ディゾルブフィールドを指定する(融合フィールドは、属性が統一されている行を選択する)
  3. ブラウズから、出力場所と名前を入力する。
  4. 実行をクリックする。

町丁目界がなくなり、単純なポリゴンが作成できた。 デイゾルブ

点データポリゴンでクリップ(Clip)する

ベクタ>空間演算ツール>クリップ からクリップを行う(対象エリアにあるレイヤの切り取り)。 23区のコンビニデータを読み込む。 クリップ

  1. 入力レイヤをポイントにする。
  2. オーバーレイヤを融合にする。
  3. ブラウズから、出力場所と名前を入力する。
  4. 実行をクリックする。 ※入力レイヤ: 切り取りたいレイヤ。 クリップレイヤ: クリップに使うレイヤ。

台東区と墨田区にあるコンビニが抽出できた。 クリップ

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オーバーレイ分析

 オーバーレイ分析は、空間データを重ね合わせブール演算をもとに領域を抽出する手法である。以下では、インターセクトとユニオンの手法について解説している。インターセクトとユニオンの詳しい説明は、[地理情報科学教育用スライド(GIScスライド)]の4章を参照してください。

インターセクト(Intersect)

国土数値情報の河川レイヤを用いて、東京の河川データを読み込み、インターセクトし(Intersect)別のポリゴンを作成する。ベクター>空間演算ツール>交差からインターセクトを実行する。 クリップ

  1. 入力ベクタレイヤを河川にする。
  2. 交差レイヤを融合にする。
  3. ブラウズから、出力場所と名前を入力する。
  4. 実行をクリックする。

江東区と墨田区に交差する河川レイヤが新規に作成できた。

※属性情報をチェックしクリップとの違いを確認する。属性情報は更新されないのでラインの長さやポリゴンやの面積は、再計算が必要な点に注意する。

クリップ

ユニオン (Union)

台東区と墨田区のポリゴンを一つのポリゴンに統合する。ベクター>空間演算ツール>統合からユニオンを行う。 ユニオン

  1. 入力レイヤをディゾルブした23区のポリゴンにする 。
  2. オーバーレイヤを台東区と墨田区のポリゴンにする。
  3. ブラウズから、出力場所と名前を入力する。
  4. 実行をクリックする。

台東区と墨田区のポリゴンを一つのポリゴンに統合できた。 ユニオン

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